かみぞの視点

早期退職増加+低水準な景況感=そろそろ転職厳しくなりますよ

早期退職と景況感の低水準でそろそろ転職厳しくなりますよ

2019年もあとわずか。

ここ数年、アベノミクスに始まる株価の上昇や好景気が続いていました。

一方で、2019年は大企業の早期退職のニュースを目にすることが多く、2019年のリストラ対象人数は1万人を超えます。

東京商工リサーチのデータを元に上場企業の早期退職募集人数のトップ10を出してみましたが蒼々たる企業が名を連ねます。

2019 早期退職 上場企業 人数 ランキング

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20191206-934220/

 

上記以外にも非上場ですがパイオニアなどの早期退職をニュースで目にした人は多いでしょう。

パイオニア、希望退職者を募集 リストラに着手

 

これらの企業は単純な業績悪化だけでなく、人件費の見直しの側面も大きいです。

なぜならば当たり前の話ですが、個々の企業が株主のために利益の最大化を試みているからです。

早期退職により大手企業で働いていた人たちが転職市場に溢れると中小企業にとっては大きなチャンスと言えます。

なぜ大きなチャンスかと言うと、今まで中小企業が努力しても自社に振り向いてもらえなかったような人材が獲得できるからです。

しかし、この流れが成立するのはあくまでも中小企業が売上拡大や投資に積極的に取り組んでいる場合です。

2019年12月の日銀短観での大企業製造業の景況感は2013年3月調査以来の低水準。

日銀短観、大企業製造業の景況感はゼロ-13年3月調査以来の低水準

 

この状況は大企業製造業のあおりを受けて多くの中小企業も連鎖的に売上拡大は厳しい状況と言えます。

つまり売上が上がる見込みのないのに積極的な人材投資ができないということです。

 

早期退職増加+低水準な景況感=そろそろ転職厳しくなりますよ

早期退職で転職市場に人が溢れても景気は上向いていないため、シンプルに需要と供給のバランスが変わります。

ここ数年は転職で売り手市場が続いていましたが一転して全体的に買い手(企業)が有利になっていくことが2020年から予想されるでしょう。

これが意味するところは、売上減少により企業の人材需要が減り、早期退職の拡大で転職者(供給)が転職市場に増えるため需要と供給が交わる交点がスライドし価格(年収)の低下に繋がるということです。

転職市場の需要と供給

 

よって、早期退職の増加+低水準な景況感=そろそろ転職が厳しくなりますよとなります。

しかしあくまでもマクロな視点で“全体的”に厳しいのであってミクロな視点では個々の職業や年齢によってチャンスは大いにあります。

 

全体的な転職市場は厳しいが個々にはチャンスあり!?

なぜ、全体的に転職市場にも関わらず個々にはチャンスかというと最先端技術をもった希少人材やIT人材といった部分においては変わらずの高需要だからです。

また、言わずもがなですがどの分野においても高スキル人材の需要は景気に左右されません。

さらに年齢の若い人は、日本の人口減により年齢だけで若干ボーナスポイントが付与されます。

一方、今まではそこそこのスキルでも転職で高待遇の恩恵を受けられましたが、今後はそうはいかず、待遇での下降スライドが発生します。

つまり、以下となることが考えられるでしょう。

■今まで

・低スキル→中待遇

・中スキル→中の上待遇

・高スキル→高待遇

・希少人材→超高待遇

■今後

・低スキル→低待遇orそれ以下

・中スキル→中待遇orそれ以下

・高スキル→高待遇

・希少人材→超高待遇

 

まあ通常に戻ったといった感じでしょうか。

いずれにせよ、一部の希少人材や高スキル人材を除いて今までのようにはいかないというのは間違いありません。

ただ、裏を返せばスキルや市場のニーズを汲み取ればどのような状況においても高待遇は可能です。

また、2019年は日本の賃金システムにおいても大きな波があり、個人的には今後より平等な賃金システムへ移行していくと考えられます。

 

より平等な賃金システムへの移行

冒頭で早期退職は業績悪化だけでなく人件費見直しの側面があると述べた通り、企業の人材戦略も動きが見えます。

昨今、トヨタの社長が終身雇用は難しいといった発言をし、中途採用の比重を上げるニュースは大きな反響となりました。

「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか

 

また、経団連も年功序列型の賃金に警笛を鳴らしています。

年功賃金「再検討を」 経団連、春季交渉へ指針案

 

2019年のこの動きは日本全体の賃金制度改革の波と感じます。

つまり、今後さまざまな企業で終身雇用前提の年功序列型の賃金システムは徐々に崩壊し、よりアメリカ型に近いスキルによって賃金が決まっていく流れに移っていくでしょう。

これは若い人にとっては大きなチャンスであり、年齢に関係なく結果やスキルによって年収が変わっていくので、あの人は年齢が高いだけで高収入だというフラストレーションが消えます。

ただし、この変化は少しずつ少しずつになるのでまだまだ時間はかかることが予想されます。

それでも2019年の上記のニュースは日本に新たなドアが開いた瞬間だと感じます。

 

さいごに

低水準な景況感により2020年からの転職市場は全体的に厳しくなっていくことが予想されるでしょう。

特に人事制度改革や早期退職により45歳以上の層にとっては今まで受けていた恩恵に与れず困難が待ち受けています。

しかし、どの時代においても自分の市場のニーズを満たす高スキル人材は景気の影響を受けず安定した需要があります。

自分自身を守れるのは自分だけです。

会社は守ってくれません。

自身が勤める会社がどのような状況になっても転職市場では需要のある人材でいられるよう市場のニーズのチェックとスキルアップは必須です。

わたしもうかうかしていられません。

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