かみぞの視点

日本の年功序列型の賃金体系でもリストラせずパフォーマンスの悪い社員を追い出す方法

2020年も早々に大手企業の早期退職の話が世間をにぎわしている。

みずほフィナンシャルグループ、セブンアンドアイホールディングス、ファミリーマート、味の素など大手上場企業がリストラをおこなっているのをニュースで目にした方も多いだろう。

ただ、わたしはリストラをおこなわずとも企業にとってパフォーマンスの悪い人に辞めてもらう方法はあると確信している。

もちろん、外資系企業であれば企業文化としてクビがある意味で日本でも容認されている雰囲気はあるが、いわゆる日系企業でも実現できる。

やり方は簡単で、結論を先に言うと“平等”に評価をすることだ。

 

日本の年功序列型の賃金体系でもリストラせずパフォーマンスの悪い社員を追い出す方法

どの会社も多額の退職金を払って中高年をリストラしているが、事実優秀な人材が辞めてしまうというデメリットもある。

ただ、冒頭の“平等”に評価をすることによって、この問題を解決できると考える。

平等に評価をするとはどういうことかと言うと具体的には業務評価(パフォーマンスレビュー)をきっちりおこなうことだ。

そんなのは毎年当たり前にやっているという声もありそうだが、本当に業務評価をきっちり“平等”におこなっているだろうか?

もう少し平等な評価という部分の解像度を上げてさらに具体的な方法を次に説明したい。

 

平等に業務評価をするための前提

あなたが部長、課長などマネジメントをおこなっている場合、平等に評価をするために絶対に必要な指標の一つは部下の年収だ。

あなたは自身が抱えている部下の年収を把握しているだろうか。

まずはここを知らないと平等な評価はありえないと言い切れる。

平等な評価のために一番最初におこなうべきことは部下の年収確認だ。

なぜなら、業務評価は個々人のコストパフォーマンスを見る必要があるからである。

株式や投資で言うならROI(Return On Investment)をチェックする、つまり費用(人件費)に対してどれだけ効果(仕事の達成度)があったかをチェックできなければ評価しようもないからだ。

 

人件費に対してのパフォーマンスチェック

部下の年収を確認したら次は年収(人件費)に対してのパフォーマンスチェックだ。

一般的に従業員の業務評価を年に1度おこなっている会社は多いだろう。

結果は5段階評価になっていて、良い評価であれば次の年のボーナスや昇給率が高くなり最低評価をもらうと給料が下がる会社も多いはずだ。

よって業務評価を平等にすることで必然的に年に1度従業員の費用対効果が改善されていく。

また、継続的に悪い業務評価をもらう社員は自然と退路を選ぶだろう。

なぜなら、マズローの欲求5段階説の3つめの社会的欲求で自身が会社に必要とされている欲求が満たせず、給料が下がり続ければ2つめの安全の欲求の経済的安定も満たせなくなり精神的に不安な状態に陥るからだ。

たらたら説明しても分かりにくいので具体的な例を挙げる。

たとえば年収300万円のAさんと年収600万円のBさんがあなたの部下だとする。

二人のパフォーマンス(仕事の達成度)が一緒、もしくはBさんの方が低い場合、Bさんは人件費に対してパフォーマンスが低いという評価だ。

一方Aさんはパフォーマンスが高いという評価になる。

なぜなら、BさんはAさんに対して2倍のコストがかかっているからだ。

きっちり評価をおこなっていれば、”費用(人件費)”と”効果(仕事の達成度)”はバランスが取れ、パフォーマンスに見合った年収になるはずだ。

もし、ズレている場合は評価によって毎年解消されていく。

非常にシンプルな話である。

分かりやすいように5段階評価で5が一番高評価だとするとAさんの評価は5、Bさんの評価は1だとする。

Aさんは給料が上がりさらにモチベーションを上げて仕事をし、Bさんは最低評価で給料は下がる。

また、評価が下がると自身はお荷物だと感じBさんは自ら退路を選ぶという流れだ。

この循環によりリストラせずにパフォーマンスの悪い社員は会社を去るということになる。

しかし、現状中高年のリストラのニュースが世間を賑わせている。

ということは平等な評価ができていないということに他ならない。

つまり多くの日系企業ではパフォーマンスが悪い社員がいるにも関わらず業務評価では給料が下がるような評価を付けないということを当たり前におこなわれてしまっているのが問題である。

“平等”に評価をするのであれば、パフォーマンスが悪い部下の評価に最低点を付けないあなたが問題だろう。

もちろん、完全に費用対効果で考えてしまうと新入社員はどうしてもパフォーマンスが悪くなるので免除期間を設ける等は人事部門が考える必要がある。

また、パフォーマンスが悪い人に対しては配置転換などの考慮もあるだろう。

繰り返しになるが業務評価を正しくおこなわれていないからこそ、リストラを行わなければならない事態になる。

なぜなら、パフォーマンスに見合った年収を渡しているなら45歳以上のリストラなどはありえないからだ。

つまり年齢が上がろうがパフォーマンスが良くなければ年収は上がらないので年齢で切ることはない。※年齢給があり最低評価でも年収が上がっていく評価モデルの会社の場合そもそも評価モデルが問題だ

 

具体的な人件費に対してのパフォーマンスの判断の仕方は?

人件費に対してのパフォーマンスと言うが、皆別々の業務をおこなっているのにどうやって評価したらいいのかという疑問があるかもしれない。

確かに営業部門であれば、売上などの評価軸が分かりやすいが間接部門はどのように評価すればいいんだろうか。

1つのやり方として、各業務に対しての数値での難度設定が必要だろう。

まず、やるべきことは業務の棚卸だ。

あなたの部下がどのような業務をやっているかを知る必要がある。

業務を理解したら、それぞれの業務に難度を割り振る。

イメージは非定型かつ専門性の高い業務が一番高難度で定型の専門性の低い業務は低難度となる。

結果、難度の高い業務を多くおこなっており、人件費が安い場合はパフォーマンスが高いという結論になる。

そうは言っても誰かは雑務をおこなわなければならないという声もあるだろう。

そんな誰にでもできるパフォーマンスの低い業務は外注や評価の関係ない人に依頼するに限る。

あくまでも上記は一例でさまざまな評価の方法はあるだろう。

また、評価は業務だけでなく、協調性や会社の理念に基づいた行動等の項目も対象となる会社も多い。

ただし、重要なポイントは適当に惰性で評価をしてしまうことが一番の問題なことを業務評価をする人間が理解しておくことである。

どういった項目であろうと、年収に見合ったコストパフォーマンスが出せているかがポイントだ。

 

さいごに

大手企業の早期退職の問題は業務評価の欠陥に他ならないとわたしは考える。

年功序列型の賃金体系でも毎年の業務評価で“平等”に評価をすることが非常に重要であり、きちっと業務評価をおこなえば年齢を軸にしたリストラはありえない。

平等に評価するためには個々の部下の年収を知り、年収に見合った費用対効果を図れば平等な評価となる。

あなたの会社では平等な評価がおこなわれているだろうか。

パフォーマンスの悪い部下に頭を悩ませているなら、自身の部門のコスト構造を改革するなら平等に評価してみてはどうだろう?

わたしも自身の会社でより平等な評価ができるように人事として尽力したい。