あなたが社会人になってから有給休暇を使って長期連休を取得したのはいつですか?
社会人になってから一度も長期連休を取れていない、もしくは20年も働いているが連休を取ったのはお葬式などの突発的な冠婚葬祭だけという人もいるでしょうか。
いろいろなニュースを見ると昔に比べて日本全体で有給休暇は取得しやすくなっている動きというのが個人的な所感です。
しかし、そうは言ってもちゃんとしたデータを見てみようと独立行政法人 労働政策研究・研修機構のデータを見ると驚きの事実が。
1984-2019年まで有給休暇の取得日数はほぼ横ばいです。
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0504.html)
平均年9日という数字は人によって多いと感じる人や少ないと感じる人もいるでしょう。
次に有給休暇の取得率を見てみると2015-2019年で7%くらいアップの約53%。
これが取得しやすくなっていると感じる要因でしょうか。
同様の期間で有給休暇の付与日数が0.5日くらい減って、取得日数が0.5日くらい増えているので転職で付与日数が少なくなった人が増えたが、会社の環境改善や同様に転職で有給休暇を取得する人が増えたのが原因かと考察します。
日本の全体的な有給休暇取得率は近年若干上昇気味なことが確認できましたが、世界と比較するとどうでしょうか。
旅行予約サイトのエクスペディア・ジャパンによる2018年12月10日に発表した調査では、日本の有給休暇取得率は3年連続で世界最下位。
【世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018】 日本の有休取得率、有休取得日数、ともに世界最下位
有給休暇の取得率が低い原因として大きく3つ。
■日本の有給休暇取得率が低い原因3つ
1.日本人の50歳以上の休み不足と感じている人の割合が下の世代に比べて低い
引用元:エクスペディア・ジャパン(https://welove.expedia.co.jp/press/40915/)
2.上司が有給休暇の取得に協力的と回答した人の割合が世界一低い
引用元:エクスペディア・ジャパン(https://welove.expedia.co.jp/press/40915/)
3.有給休暇の取得に罪悪感がある人の割合が世界一高い
引用元:エクスペディア・ジャパン(https://welove.expedia.co.jp/press/40915/)
まとめると、有給休暇を取るのに罪悪感があるにも関わらず上司は部下の有給休暇取得に非協力的かつ休み不足とも感じていないという負の連鎖がまかり通っているのが有給休暇の取得率が世界的に低い原因です。
これでは当たり前ですが有給休暇の取得率が上がるはずがありません。
つまり、管理職のKPIに部下の有給取得率を強制的に入れない限り取得率は上がりません。
これと同様に紐づいているのが有給休暇での連休取得が難しい問題です。
会社で長期有給休暇が取得できないのはあなたと上司のせい
上記の原因を見ると連休が取得できないボトルネックは有給取得に罪悪感があるのに年齢高めの管理職が意識的に連休取得を勧めないのが原因です。
なぜならば、そもそも日本人は有給休暇の取得に罪悪感があるので自ら取得するのは至難の業。
そんな中、上司からの働きかけがなければ単発の有給はもちろんのこと連休など取れるはずもありません。
結婚すると連休が取れるのは、管理職及び年配の層にその時は連休を取得してもよい(むしろその時しか連休を取得してはいけない)という暗黙の認識があるためでしょう。
つまり、物理的には連休を取ると仕事が回らないことはなく、何も重大な理由がないのに私的な旅行などで連休を取る雰囲気ができていないのが問題なのです。
連休を取ると、その時に誰かがその負担をしなければならないと思う人もいるでしょう。
しかし、普段から互いに業務を依頼し合う関係ができていないと突然のインフルエンザや親族の他界で休むべき時にスムーズな仕事の依頼ができなくなり、どこかの風邪薬のキャッチフレーズのように「風邪でも絶対に休めないときに」というふざけた状態になるでしょう。
日々お互いに業務を支え合う体制を作っておくことがチームとしても強固になり突発的な事態でのトラブル解決に役立ちます。
連休で誰かに仕事を依頼することは相手に負担をかけさせることではなく、お互いのスキルアップおよび連携のとれたチームに欠かせないエッセンスであるというマインドセットが上司と部下を合わせたチーム全体で重要なのです。
だからと言って啓蒙活動をしても人はなかなか簡単に変わらないのも事実。
そのためトップダウンでの強制力が必要なのです。
次に具体的な事例を紹介します。
長期連休の具体的な事例
多くの金融機関では半ば強制的な5連休取得があります。
これは上記のマインドセットが理由というよりは内部統制の一環とした位置づけが強いです。
どういうことかと言うと、金融機関は他業種に比べてお金を扱う機会が格段に高いので、お金絡みの不正が多くあるのも事実。
なので、一定期間誰かが代わりに業務をおこなうことで不正発覚に寄与できるという理由で連休を設けている会社が多いでしょう。
あの、というと語弊があるかもしれませんが、あの野村證券でも年2回(暑中休暇、リフレッシュ休暇)の5営業日の完全取得があります。※下記参照
引用元:野村グループ 働きやすい職場環境の整備(https://www.nomuraholdings.com/jp/csr/employee/support.html)
土日を合わせると9連休が年に2回もあるのは若い人には魅力的ですよね。
こういった強制力は有給取得に罪悪感のある日本人には必要でしょう。
ちなみにわたしの会社では有給の切り捨て禁止目標があります。
どういうことかと言うとご存知の方も多いと思いますが有給休暇の繰り越しは翌年まででそれ以上は実質捨ててしまうことになります。
そのため、管理職は有給の切り捨てが発生しないように毎月部下の有給休暇を管理し進捗が悪い場合は積極的に有給取得を促します。
また、経理部門だった際は上司が外国籍だったため上司自身も3週間くらい国に帰って長期連休を取っていたり育休も1年くらい取得しているので部下としても積極的に有給休暇が取得しやすい雰囲気がありました。
これってものすごく重要で個人的には休みの取りやすさで会社へのロイヤリティがもの凄く上がると感じています。
管理職の方は「仕事も一人前にできないくせに有給休暇なんてふざけるな!」というマインドから「有給休暇や連休を取らせて帰属意識を高めて仕事へのモチベーションアップに繋げよう!」というマインドに変化をしないと人手不足解消や優秀な人材確保は難しいでしょう。
さいごに
結婚すると連休が取れるのに何もないと連休が取れない理由は、仕事の構造上休みが取れないのではなく、高年齢の管理職の意識の問題と日本人の有給取得に罪悪感のあるマインドであることが分かりました。
現在の人手不足、採用トレンドから言っても企業は強制的な有給休暇および連休の取得をしない限り有給休暇の取得に罪悪感のある日本人が自ら取得率が上がっていくことは難しいでしょう。
時代の変化と共に当たり前も変わっていきます。
有給や連休で同僚に迷惑がかけられないという考え方から、いつでも補完し合える強固なチーム作りという発想にあなたから変えてみてはいかがでしょうか。