外資系人事

有名企業以外はレッドオーシャンの新卒採用よりブルーオーシャンの第二新卒を狙え

日本の人口減少、高齢化は昨今の大きな問題だ。

企業では新卒採用は売り手市場と言われている中で45歳以上はリストラと非常に分かりやすいコントラストが付けられている。

そんな中、企業の新卒採用担当者は2020年も売り手市場で学生の奪い合いがおこなわれる。

大手企業やB to Cの知名度の高い企業は多くの学生が集まり、反対の企業では悪銭苦闘を強いられる。

新卒採用担当はある意味で営業担当でもあり、世の中のすべての新卒採用をおこなう会社が競合だ。

わたしも悪戦苦闘を強いられる側の企業の新卒採用担当の一人。

現在働いている会社は外資系のメーカーでB to Bビジネスをおこなっており、学生が知っていることは皆無。

そんな皆無の状況でも、よりマッチする学生の採用が必要だ。

ただ、わたしは中途採用も同時におこなっている。

そこで大きな気づきを得た。

こんなレッドオーシャンの市場で戦う必要はあるのか?と。

 

有名企業以外はレッドオーシャンの新卒採用よりブルーオーシャンの第二新卒を狙え

新卒採用は中途採用に比べて、はっきり言って手間だ。

中途採用であれば、書類選考→面接→内定→入社のシンプルな流れになる。

しかし、新卒は上記+会社説明会や基礎研修、入社式など中途採用では発生しない追加的な業務が増える。

追加的な業務が増えるということは追加的な費用も同時に発生する。

また、早ければ1年以上前に採用が決まっているのに入社まで非常に長い時間がかかる。

会社なんて1年あれば状況は180度変わる可能性もあり、リーマンショックがいい例だろう。

こんなに新卒いるっけ?という話になったり、内定辞退なども採用計画に大きく影響するため、正直手間だ。

トヨタの”かんばん方式”は「必要なものを必要な時に必要なだけつくって運ぶ」で、その効率の良さから世界に考え方が広がった。

しかし、新卒採用は「1年後必要か不明な人を必要になる前提で固定のタイミングで必要だろうと思われるだけ採用する」である。

さらに、2020年の現状は売り手市場でいわゆる優秀な学生は採用しにくい。

採用担当の視点で言えば、新卒採用は手間がかかる割に採用の難易度も高いのでコスパが悪い。

もちろん考え方はいろいろあり、どの会社にも染まっていない新卒はそれだけ価値が高いという考えもあるので否定はしない。

ただ、現状の市場を見た場合にコスパが悪いのだ。

じゃあ、知名度のない会社はどのように戦えばよいのかと言えば第二新卒だ。

なぜなら、新卒市場より圧倒的に競合が少なくなるからだ。

 

第二新卒がブルーオーシャンな理由

結論を先に言うと、以下の点で第二新卒はブルーオーシャンだ。

■第二新卒がブルーオーシャンな2つの理由

1.新卒より第二新卒をおこなう企業の割合が圧倒的に減る

2.学生は働くことで、より自身に合う企業を探す

 

新卒より第二新卒をおこなう企業の割合が圧倒的に減る

第二新卒がブルーオーシャンな理由の1つは新卒より第二新卒をおこなう企業の割合が圧倒的に減るからだ。

説明するよりも事実を見るのが早いと思うので、下記をご覧いただきたい。

リクナビ 新卒採用 2020 掲載企業数

参照元:https://job.rikunabi.com/2020/

 

2019年3月1日時点でリクナビに求人を公開している企業数は20,139社だ。

20,139社の中から知名度のない会社が学生にアプローチするのは非常に工数がかかることがお分かりいただけるだろう。

対して、リクナビNEXTで2020年2月1日時点で第二新卒をおこなっている会社は以下の取りで392件

リクナビNEXT 第二新卒リクナビNEXT 第二新卒2

参照元:https://next.rikunabi.com/tokushu/special/015/?leadtc=top_special_paid

 

圧倒的に企業数が少ないのは明らかだ。

念のため、dodaを見てみると、こちらは2020年2月1日時点で3,991件だ。

doda 第二新卒 求人数

参照元:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_op__3/

 

リクナビNEXTの約10倍にはなるが、新卒の企業数に比較すると約20%しか求人がない。

圧倒的に競合企業が減り、自社が認知される機会が増えるのは誰の目にも明らかだ。

よって新卒採用をおこなう企業数と、第二新卒でどちらが1人の候補者が企業と遭遇する可能性が高いかは第二新卒の圧勝である。

もちろん、企業数が減っても正しく候補者にアピールできなければ採用ができないのは新卒も第二新卒も一緒。

また、第二新卒の方が母数は少ないという考えもあるが、あくまでも1人の候補者に対しての企業数として判断いただきたい。

 

学生は働くことで、より自身に合う企業を探す

次は学生側の視点だ。

新卒の場合、就職をしたことがない人が企業を探すにはまず自分の身近なB to Cの企業を考えるのが一般的だろう。

また、就活情報でいわゆる人気企業ランキングなどを見て応募を考える人もいる。

わたし自身も恥ずかしい話、就活をおこなう前まで電通という会社が何の会社なのか知らなかった。(初めて名前を聞いた時は電線関係の会社かと思ったw)

よって、基本的にはB to Cの会社やいわゆる超大手企業に圧倒的な人気が集まり無名企業は非常に苦労する。

もちろん、ブランディングが非常に上手い企業は例外なのは言うまでもない。

また、実際に就職しても数年以内に辞める人は多い。

厚生労働省のデータを見ると平成28年3月の大卒の1~3年目の離職率は以下の通りだ。

厚生労働省 平成28年3月卒 離職率

参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556486.pdf

 

ざっくり1年目で10%、2年目で20%、3年目で30%の離職率。

辞めた理由は長時間の残業だったり、業務がつまらなかったり、自身と合わない上司だったりとさまざまだろう。

また、まだ辞めていなくても上記のような理由で次の会社を探す人もいる。

上記のような人が探す企業は学生時代に考えていた基準で探す基準とは異なる。

なぜなら、もし就活で自身の理想と思う企業に入ってから上記のような状況になった場合、基準を変えない限りまた同じような状況に遭遇することが予想できるからだ。

たとえば、長時間の残業で疲弊して転職を考えている人が同じような長時間労働が予想される企業を選ぶだろうか?

次の会社を探す軸は少なくとも残業時間が少ない会社を探すのは言うまでもない。

すると学生時代は知っている会社や有名企業の軸だった人も無名企業であっても、ホワイトな環境の企業を探すため、無名企業にもチャンスは出てくるのだ。

他にも、現在の会社で決められたことしかできず、改善しようとしても今までのやり方を強いられることに嫌になった人であれば、もっと裁量をもって働ける企業で働きたいと思うだろう。

つまり、働くことを経験することで学生時代に比べて企業を選ぶ際の基準の多様化が進むのだ。

多様化が進めば、新卒時は気にも留められなかったような会社にも応募されるチャンスがある。

事実、わたしが働いている会社でも第二新卒の募集をおこなったところ、分かりやすい軸で言えば、高学歴でTOEICが800点代の人から応募が結構きた。

ちなみにわたしが働いている会社は冒頭で書いた通り、無名の企業で東京にあるわけでもない。

たまたまタイミングが良かったと言えばそれまでだが、新卒で上記のスペックの学生に応募してもらうのは至難の業である。

この経験から有名企業以外はレッドオーシャンの新卒採用より、ブルーオーシャンの第二新卒で採用をおこなった方がよいと感じた。

 

さいごに

具体的な数字を見ていただくことでどれだけ新卒採用が難しく、第二新卒の方が簡単か分かっていただけだろう。

採用戦略や、会社の年齢分布で若い人の採用をおこなう場合、安易に新卒採用に走らず、第二新卒や中途のポテンシャル採用など方向性を変えてみるのは一つの手である。

そうは言っても、一番の課題は頭の固い上司が「すぐに会社を辞めるような人を採用したくない!」という反応に対してどのように丸め込むかが最高難易度かもしれないw