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外資系経理の月中の仕事内容って何?
これから外資系の経理に転職を考えている方は、普段外資系の経理ってどんな仕事内容をおこなっているのか気になりますよね。
外資系の経理を3社で経験した私かみぞのが、どのような仕事内容をおこなっているのかを説明します。
今回は、月初、月中、月末の3つある中で、月中の大まかな業務を説明いたします。
会社や業界毎に違いはあると思いますが、共通業務と思われるものをシンプルにわかりやすく上げていきます。
外資系経理の月中の業務
外資系企業の月中におこなわれる業務は大きく分けると下記の3点になります。
1.月初で固まった前月の数字を親会社へレポート
2.Daily(デイリー:日々の)業務
3.Fiscal year end(フィジカル イヤー エンド:会計年度末)に向けたデータの準備
月初で固まった前月の数字を親会社へレポート
下記の記事で月初の仕事内容について説明しました。
月初では前月の数字を正しくシステムに入れて、前月の売上や費用などがどれだけかかったのか、銀行口座にいくらお金が残っているのかをまとめましたよね。
月中で外資系企業の経理に求められるのは、月初にまとめたデータを海外の親会社にレポート(報告)をすることです。
通常、月中の何日にどのレポートを出してくださいというスケジュール表が毎月親会社から連絡が来るので、そのスケジュールに沿ってレポートを提出します。
また、レポートのフォーマットは親会社指定のものがあるので、指定されたフォーマットに沿ってレポートを作成します。
では、具体的にどんなことをレポートするのかですが、大きいもので例を上げると下記の3つです。
1.PL(損益計算書)
2.BS(貸借対照表)
3.Cash flow forecast(キャッシュ フロー フォーキャスト:資金繰り予測)
細かなレポートもいろいろありますが、どの外資系企業でも求められる大きなところですと上記はまず含まれます。
PLやBSについては、元々報告していたForecast(予測)やBudget(バジェット:予算)に対して、Actual(アクチュアル:実際)はどのくらいプラスもしくはマイナスだったのか、またその原因は何かを報告します。
たとえば、売上が予測より50%も高かった場合、原因は何か?を報告するんですね。
その際に経理では詳細が分からないのでSales department(セールス デパートメント:営業部門)に原因を確認します。
すると、元々翌月売り上げる予定のものがお客様の都合で1ヶ月受注が早まったことが分かりました。
よって、原因は”翌月受注予定の売上の1ヶ月前倒し”という報告になるんですね。
今回は売上を例に挙げましたが、費用でも大きな差があったものに関しては同様に原因を説明します。
きっと、上場企業に勤めている方も株主に報告義務があるので、似たようなものを作成しているでしょう。
日本の上場企業とのレポートの大きな違いは、シンプルで”日本語”か”英語”かですね。
Daily(デイリー:日々の)業務
月中では日々刻々とやってくるいわゆるルーティーン業務をおこないます。
例えば、A社から文房具を10,800円買った場合、その際に届く請求書をシステムに下記のように仕訳をするPosting(ポスティング:入力)業務。
Dr.文房具 10,000円
Dr.仮払消費税 800円
Cr.買掛金 10,800円
届いた請求書に対して支払をおこなうので、システムに入っている支払先の企業、金額が手元の請求書と合っているか確認して、銀行から支払をする支払業務。
お客様に売り上げていた売掛金に対しての入金があった際に、現在の売掛金と入金された金額とで相殺する入金処理業務などが分かりやすいところでしょうか?
また、従業員が出張した際に交通費や宿泊費、お客さんとの打ち合わせなどの費用を自分のお金で支払った場合、会社に対してこれ自腹で払ったから返してよ!という経費精算をシステムにPostingする業務などもありますね。
Fiscal Year End(フィジカル イヤー エンド:会計年度末)に向けたデータの準備
夏休みの宿題は、夏休みの最終日におこなうと悲惨なことになります。
同じように経理では、1年間の結果を元に税金の支払いなどをおこなっていくんですが、1年間の処理を1年の最後にまとめておこなうことは、規模が大きくなればなるほど悲惨な状況になります。
夏休みの宿題は期限までに宿題を提出できないと、先生に怒られるだけかもしれませんが、会社の場合、追徴課税と言って提出が遅れたら余計にお金を支払わなければなりません。
世の中というものはシビアですね。
前置きが長くなりましたが、月中の忙しくないタイミングでコツコツとFiscal Year Endに向けて準備を進めます。
具体的には、下記の3つを紹介します。
1.仮払消費税の検証
2.仮受消費税の検証
3.海外関連企業との取引の分類
仮払消費税の検証
まず、仮払消費税の検証とは、現在システムに入っている支払予定の消費税の金額が正しいかを確認する作業です。
例えば100円の何かモノを国内で買った場合、消費税は8%なので、8円が正しい消費税ですよね。
しかし、もし間違えて国内で買ったにも関わらず消費税が0円と入力してしまったとする本来支払うべき金額とズレてしまいます。
よって、本来支払うべき消費税の金額が合っているかをチェックし、もし間違っていれば、正しい金額に修正をおこないます。
仮受消費税の検証
仮受消費税も同様に国内の企業に商品などを売った場合、正しく消費税が付いているか、また海外の場合は、消費税が付いていないかをチェックします。
方法はシンプルに説明すると実際にシステムに入っている仮受消費税の金額と本来発生するであろう仮受消費税の金額を出します。
互いの金額を比べると四捨五入もあり、まったく一緒にはなりませんが、許容できる範囲の差(会社の規模により、数十円や数百円など異なります)であれば、間違いはないと判断し、何十万円と差があると、何かが間違っていると考えられるので、原因を探さなくてはなりません。
検証作業は月単位でこまめにチェックしておくと、1年分一気に間違いを探すよりも楽にミスが見つかりますので、何事も早め早めに準備しましょう。
海外関連企業との取引の分類
海外関連企業との取引の分類は、外資系企業やグローバル展開をしている企業で必要な作業で、税務申告の“別表17(4)国外関連者に関する明細書”を作成するためにおこないます。
詳しい方法はわたしが税理士ではないため、記載できませんが、海外の関連会社とどんな取引をしたかをジャンル別に金額を書く必要があるんですね。
そのため、毎月、海外の関連会社とのやり取りでどんな取引だったかをジャンル分けしておくと、税務申告の際にスムーズに作成できます。
最後に
経理でない方は経理の人は月中に何をやっているんだろう?と思っているかもしれませんが、黙々と処理をしたり、来るべき税務申告に向けて着々と準備をしているんですね。
月中は経理担当者にとって比較的時間が取りやすいので、わたしはできるだけ月中に有給休暇を取ってます。
また、月中はどのタイミングで何をするかを自身の判断でできる部分が多いので、裁量のある時間の使い方ができますね。
さらに、いろいろなプロジェクトを抱えている場合は、月中の空いているタイミングで進めることが多いです。
月中の時間の使い方を制すれば、月末も月初もスムーズに乗り越えられるのでProcess improvement(プロセス インプルーヴメント:業務改善)をおこない、余裕をもって仕事をしたいですね。
なお、外資系経理の月初の仕事内容は下記。
月末の仕事内容も気になる方はご覧下さい。