かみぞのです。
今まで、外資の経理やFP&Aってどんな仕事をしているのかを紹介してきました。
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今回は、外資系企業の経理やFP&Aが具体的にどういった年間目標を設定しているのかを紹介します。
なお、外資と一言に言っても会社によって目標の立て方は異なるでしょう。
そのため、今回紹介するのは、わたしが現在働いている外資系企業と以前働いていた外資系企業の目標設定です。
目標の立て方はほぼ同様でしたので、具体的に紹介していきます。
外資経理やFP&Aがどんな年間目標を設定しているのか具体的に解説
わたしが経験した外資系企業での年間目標は、大きく2つに分かれます。
1つ目が定性目標、2つ目が定量目標です。
1.定性目標
定性目標は企業理念に対して自身がどういった行動をおこなっていくかを決めます。
具体的には、会社の企業理念の1つに“他者への思いやり”があったとします。
経理担当であるならば、“他部門に会計的な説明をする際は、専門用語を使わずに会計的な背景を伝えるように意識して行動する”というのが目標となります。
定性目標の最終的な評価は5段階評価で決まり、具体的に自身がどのような行動をしたかに基づいて評価されます。
評価にあたっては、まず自分自身が5段階評価でどの位置だったのかを理由も踏まえて自己申告します。
その後、上司と面談をして評価のすり合わせをし評価が決まるという流れです。
2.定量目標について
定量目標は自身の業務に対する目標を決めます。
具体的には年間目標を3~5つ作り、それぞれにどれだけコミットするかの%を設定しトータルで100%になるようにします。
年初に目標を設定し、中間レビューと最終レビューがあり、それぞれの目標の達成度によって評価が決まります。
定性目標と同様に、評価はまず自己申告し、最終的に上司とのすり合わせで決まります。
なお、経理やFP&Aの定量目標はわたしの経験では以下の5つに集約されます。
■外資系経理とFP&Aの年間目標5つ
1.効率化
2.削減
3.開発
4.習得
5.達成
1.効率化
効率化は非常にイメージしやすいでしょう。
さまざまな業務の工程、フロー等を見直し、今までよりもより早く、簡単に、短い時間でおこなうといった目標が効率化にあたります。
目標の立て方は、Aという業務を今までよりも10%作業時間を効率化するなど具体的な数字で表します。
たとえば、Cash flow forecast(キャッシュ フロー フォーキャスト)という将来のお金の動きを予測する業務での効率化の目標を立てたとします。
今まで数字をコツコツ入れていたものに対して一部の工程をエクセルの関数を上手く利用し、AというエクセルのシートにBから持ってきた数字を入れるだけで、必要箇所に自動的に当月分の数字が飛ぶようにしたとしましょう。
すると、自動化されて結果的に作業時間が15%短くなり効率化ができたとなります。
これが、効率化ですね。
2.削減
次は削減です。
無駄な業務を削減、不必要なレポートを削減などいろいろですね。
たとえばシンプルなもので言うと残業時間の削減も1つです。
具体的には毎月の平均残業時間を5時間以内にするなど目標に組み込んだりします。
わたしが過去に実際におこなった削減は、レポート報告の廃止です。
あるレポートは過去の流れでレポートを作成して上司に送っていましたが、なぜそのレポートが必要なのか?もしくは誰が見ているのかを確認し、最終的にレポートは以前会社にいた上司は見ていたが、現在の上司は必要ないとのことで、レポート提出自体を完全に削減しました。
上記以外では、複数送っているレポートを複合させて送るレポートの数を減らすのも削減の1つですね。
経理は紙を削減してPCで管理するなども課題としてあるでしょう。
3.開発
3つ目は開発です。
何か新たなツールや、レポート、手法などを自身で発案し開発することです。
開発したものについては、開発したことで具体的に以前の状況から何%どう改善されたかを記入するのがポイントですね。
たとえば経営層向けによく依頼されるデータを提出するためのフォーマットをエクセルで開発するなどです。
具体的には、国別の仕入金額の月毎の推移のデータが今後定期的に必要であれば、数字と折れ線グラフで分かりやすいのを作成するなどです。
国別以外にも、企業別、国内・海外比率なども兼ねたものであれば、より利便性が高いので併合したものを作れば尚可ですね。
上記以外でも、たとえば会計システムへのデータ入力を手入力から、CSV形式のデータを流し込むだけに変えるため、元データのエクセルにマクロでボタンを作り、ボタンを押すとデータがシステムに流し込めるCSV形式にコンバートされるツールも開発の1つです。
4.習得
4つ目は習得です。
新たな業務を覚えて、トラブルなく遂行するといった目標がそれにあたります。
分かりやすい例で挙げれば、税務申告のやり方を習得し、自身が責任者となり、滞りなく業務を完遂するというのは1つの習得です。
また、本国へレポートする内容を誰かから引継ぎ、大きなミスなく業務を遂行することも1つの習得ですね。
わたしが目標を立てる際は、タイムラインを記入しています。
具体的には固定資産業務の習得をターゲットだとします。
その際3月中に固定資産に関わる業務を引き継ぎ、4~5月は前任者にサポートを受けつつ業務をおこなう。
4ヶ月目からは自身で業務を完結し、その後は単独で業務遂行といった流れになります。
5.達成
5つ目は達成です。
何かのターゲットを達成する、もしくはプロジェクトに参画し、期限内にプロジェクトを成功に納めるといった目標がそれにあたります。
たとえば、会計システム導入プロジェクトで自身が責任者として加わった場合、スケジュールに沿って問題を潰していき、期限内にシステム導入をすることが達成目標となります。
会計システム導入までいかなくとも、銀行口座統合プロジェクトでトラブルなくスムーズに移行するというのも1つの達成ですね。
プロジェクト以外でも、Cash flow forecastの翌月の予想と実際の差を年間平均1%以内を達成するというのも目標です。
さいごに
今回は外資系経理やFP&Aがどんな年間目標を設定しているかを記載しました。
大きく定性目標と定量目標の2つがあり、定量目標は具体的に以下の5つに集約されます。
■外資系経理とFP&Aの年間目標5つ
1.効率化
2.削減
3.開発
4.習得
5.達成
外資だからと言って極端に目標が日系企業と異なることはないんじゃないかと思われます。
また、実際問題、効率化と削減と開発はどれも繋がっていたりします。
たとえば、新たなツールを開発して10%工数を削減して業務を効率化させた場合、上記の3つが含まれますね。
外資系企業は何か特別な目標設定なんじゃないかと思っていたあなたは拍子抜けかと感じますが、実際はこんなもんです。
また、現在経理やFP&A以外の業務をおこなっている人は、経理やFP&Aの人はこんな目標を立てているんだと参考になれば幸いです。